キャリア・ガイダンスに関する直接の理論は、「職業選択理論」「構造理論」「職業発達理論」に分かれる。職業選択理論には、(1)特性・因子理論(2)意思決定・期待理論(3)社会的学習理論からなる。(1)の特性・因子理論の代表はパーソンズ、(2)の意思決定・期待理論の代表はジラットやヒルトン、(3)の社会的学習理論の代表はクランボルツである。ここでは特性・因子理論の考え方を取り上げてみよう。

パーソンズは「職業の選択」(Choosing a Vocation)の中で次のような見解を示した。

①自分自身・自己の適正・能力・興味・希望・資質・限界、その他の諸特性を明確に理解すること。

②さまざまな職業や仕事に関して、その仕事に求められる資質・成功の条件・有利な点と不利な点・報酬・就職の機会・将来性などについて知識を得ること。

③上の2つの関係について合理的な推論を行いマッチングすること。

上の3つのステップを踏むことによって、賢明な職業選択は行われると考えられる。これらの課題を達成する方法として、次の7つが必要であるとした。

1.個人資料の記述 2.自己分析 3.選択と意思決定 4.カウンセラーによる分析 5.職業についての概観と展望 6.推論とアドバイス 7.選択した職業への適合のための援助

パーソンズの理論は「人間には個人差があり、職業には職業差がある。両者をうまく合致することが可能であり、そのことが良い職業選択や職業適合である」というもので、一般的にはマッチング理論でとおっている。

次に批判を示す。

①雄ネジと雌ネジが、ぴったりと合う適合関係を、あまりにも重視すること(ペグの理論)。

②人と職業の関係を、ある時点で固定的・静的にとらえ過ぎていること。

③現実の職業選択は、必ずしも「合理的な推論」によって行われるとは限らず、情緒的・無意識的というような合理的とは言い難い要素によって左右されていることに対する考慮が足りないこと。